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エクソンモービル(XOM)の配当と原油価格の影響|高配当株の魅力とリスク

By Staff | 2025-09-13

Category: 配当成長投資

エクソンモービル(XOM)は世界最大級の石油・ガス企業であり、米国株の中でも高配当銘柄として知られています。

 

40年以上連続で増配を続けるという実績を持ちながら、その収益と株主還元は原油価格に強く左右されるのが特徴です。

 

本記事では、配当履歴と原油価格の関係、そして投資判断のポイントについて整理します。

 


 

企業概要と収益構造

 

エクソンモービルは上流(探査・生産)から下流(精製・販売)、さらに化学事業まで幅広く展開する総合エネルギー企業です。

 

グローバルに事業を展開しており、エネルギー市場の変動に耐えうる規模を誇ります。

 

ただし、その収益は依然として原油・天然ガス価格の動向に強く依存しています。再生可能エネルギーへの移行が進む中でも、世界のエネルギー供給において重要な役割を担っている点は変わりません。

 


 

配当の実績

 

エクソンモービルは40年以上連続で増配を続けてきた歴史があります。

 

  • 2024年の年間配当は1株あたり約3.76ドル
  • 2014年は約2.70ドルで、10年間でおよそ40%の増加
  • 配当利回りは直近で約3.5〜4%前後

 

この安定した配当姿勢は、エネルギー価格に依存する事業モデルにもかかわらず、株主重視の方針を貫いていることを示しています。

 


 

原油価格と収益・配当の関係

 

エクソンモービルの収益は原油価格に直結します。

 

  • 原油価格が上昇すると利益が拡大し、増配や自社株買い余力が増える

 

  • 原油価格が下落すると収益が圧迫され、配当性向が高まり増配余地が狭まる

 

たとえば2014〜2016年の原油安局面では利益が急減しましたが、配当は維持されました。

 

2020年のコロナショック時には赤字に転落したものの、減配は行わず据え置きとしました。これは投資家に対して「配当を守る」という強いメッセージといえるでしょう。

 


 

自社株買いと株主還元姿勢

 

エクソンモービルは配当に加えて、自社株買いでも株主還元を強化しています。

 

  • 原油高局面では数百億ドル規模の自社株買いを実施

 

  • 原油安局面では自社株買いを縮小し、キャッシュフローを配当維持に優先

 

この柔軟な戦略によって、増配と配当維持の実績を積み上げてきました。

 


 

リターン実績と投資成果

 

長期的に見てもエクソンモービルは安定したリターンを提供してきました。

 

  • 過去20年間のトータルリターン(配当再投資込み)は年率約8〜9%
  • 同期間のS&P500には劣るものの、エネルギー価格上昇局面では大きな上振れもある
  • 2000年に1万ドルを投資し配当を再投資していた場合、2024年時点で資産は約5万ドル以上に成長

 

S&P500のような一貫した右肩上がりとは異なりますが、原油市況に連動する波を乗り越えながら、長期的に配当とリターンを積み上げてきたことが分かります。

 


 

投資家にとってのメリット

 

エクソンモービル株を保有するメリットには次のような点があります。

 

  • 高水準の配当利回りと40年以上の増配実績
  • 原油価格上昇局面での収益拡大による投資成果
  • インフレ環境下でエネルギー価格上昇が収益を下支え

 

ディフェンシブ性というよりは「資源価格連動型の高配当株」として位置づけられます。

 


 

リスクと留意点

 

一方で、投資にあたってはリスクも考慮すべきです。

 

  • 原油価格下落で収益が急減し、配当余力が縮小する可能性
  • 脱炭素政策や再生可能エネルギー拡大による長期的な構造変化
  • 配当性向が一時的に上昇する局面では増配が難しくなることもある
  • 環境規制や地政学的リスクによる業績変動

 

これらの要因は長期投資において無視できません。

 


 

今後の展望

 

短期的には原油価格の動向が配当と株価の最大の要因になります。

 

中長期的にはエネルギー転換にどう対応するかが鍵となります。

 

  • 世界的なエネルギー需要は今後も続く見通し
  • 脱炭素社会への移行と石油メジャーとしての適応力が試される
  • 当面は安定的な配当維持が見込まれるが、増配率は市況次第で変動

 


 

投資判断とまとめ

 

エクソンモービル(XOM)は40年以上連続で増配を続ける高配当株としての信頼性を持ちながら、その収益は原油価格に大きく依存しています。

 

原油安局面でも減配を避けた実績は評価できますが、将来も同じ余裕を持てるとは限りません。

 

ブランド力や事業規模を背景に「配当を守る姿勢」は今後も続くと考えられる一方で、原油市況やエネルギー転換に伴う不確実性を冷静に見極める必要があります。

 

守りの配当株というよりも、市況とともに上下する「資源サイクル型の高配当株」として、ポートフォリオに組み入れる際の役割を考えることが重要です。

 


 

FAQ

 

Q1. エクソンモービルの配当利回りはどのくらいですか?


直近では約3.5〜4%前後で推移しています。株価水準によって変動するため、利回りと配当性向の両方を確認することが大切です。

 

Q2. 原油価格が下がると配当は減るのでしょうか?


過去の事例では、原油安でも配当は維持されてきました。ただし収益が大きく減少すれば、増配が止まる、あるいは自社株買いを縮小して配当維持を優先する可能性があります。

 

Q3. これまでに減配したことはありますか?


直近40年以上は減配していません。2020年のコロナショック時にも据え置きを選び、株主還元の姿勢を示しました。

 

Q4. エネルギー転換の中でエクソンはどう対応していますか?


二酸化炭素回収や低炭素燃料の研究開発などに取り組んでいます。ただし再エネ企業と比べると進捗は緩やかで、今後の注目点となります。

 

Q5. 日本の証券会社からXOM株を購入できますか?


SBI証券や楽天証券など主要ネット証券を通じて取引可能です。米ドル建てで配当を受け取るため、為替リスクにも注意が必要です。

 

 

Tags: 配当株 XOM
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。