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投資信託からETFへ乗り換えるときの注意点|コスト削減と税制・再投資の違い

By Staff | 2025-08-18

Category: インデックス投資

投資家の中には、これまで投資信託を利用してきたものの、より低コストで透明性の高い運用を求めてETFへの切り替えを検討する人もいます。

 

確かにETFには手数料の安さや指数に直接連動するシンプルさといった魅力がありますが、一方で移行にあたって注意しておきたい点も存在します。

 

本記事では、投資信託からETFへ乗り換える際のメリットと実務的な注意点を整理して解説します。

 


 

投資信託とETFの違いを簡単に整理

 

まずは両者の基本的な違いを押さえておきましょう。

 

  • 価格形成:投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されるのに対し、ETFは株式と同じように市場でリアルタイムの価格で売買できます。
  • 売買の仕組み:投資信託は証券会社や銀行経由で注文する形が一般的ですが、ETFは証券取引所で直接売買する形になります。
  • コスト構造:投資信託は信託報酬がやや高めで、ETFは経費率が非常に低いものが多いのが特徴です。

     

この中でも特に長期投資家にとって大きな違いとなるのが「手数料」です。

 


 

メリット① 長期的な手数料削減

 

ETFに乗り換える最大の魅力は、信託報酬の安さにあります。

 

  • 一般的なインデックス投信の信託報酬:年0.1〜0.3%程度
  • 米国ETF(例:VOO、IVV):年0.03%前後

     

この差はわずかに見えますが、長期になると大きな違いを生みます。

 

たとえば1,000万円を30年間運用し、年間0.2%のコスト差があった場合、累計で数十万〜数百万円規模の差となる可能性があります。

 

つまり、ETFは「同じ指数に投資するのにコストを最小化できる」点が、最大のメリットです。

 


 

注意点① 乗り換え時の課税

 

投資信託からETFへ切り替える際には、必ず「解約」という手続きが必要になります。

 

このとき投資信託に含み益があれば、20.315%の譲渡益課税が発生します。

 

たとえば100万円で購入した投資信託が120万円に値上がりしていた場合、解約時の20万円の利益に対して約4万円の税金がかかります。

 

この税負担がETFのコスト削減メリットを一部相殺することもあるため、移行のタイミングには注意が必要です。

 


 

注意点② 配当金の再投資は自分で行う必要

 

投資信託では、分配金が自動的に再投資されるタイプが多く、特に積立投資をしている人にとって手間がかかりません。

 

一方、ETFは配当金が現金で支払われるため、投資家が自ら再投資を行う必要があります。

 

再投資を怠ると複利効果が薄れてしまうため、長期投資を前提にするなら配当金を定期的に再投資する習慣を持つことが重要です。

 


 

税制の扱いはETFと投資信託で共通

 

よくある誤解として「ETFはNISAで不利では?」という疑問があります。

 

しかし実際には、ETFも投資信託も税制の扱いは基本的に同じです。

 

  • NISA口座では、日本の課税分(20.315%)は非課税。
  • ただし、米国株式やETFからの配当金には**米国源泉徴収10%**がかかり、これは投資信託もETFも共通です。

 

したがって、「ETFだから税制で損をする」ということはなく、どちらを選んでも条件は同じです。

 

ETFのデメリットとして取り上げる必要はありません。

 


 

注意点③ 投資スタイルとの相性

 

最後に、自分の投資スタイルに合うかどうかも考える必要があります。

 

  • 投資信託:自動積立や再投資に強みがあり、投資初心者や“ほったらかし”投資をしたい人に向いている。
  • ETF:自分で取引を管理したい、低コストを徹底的に追求したい、という投資家に向いている。

 

つまり、ETFへの乗り換えは「長期の手数料削減」を重視する投資家にとって有効な選択肢と言えます。

 


 

まとめ

 

投資信託からETFへ切り替える最大のメリットは、信託報酬の低さによる長期的なコスト削減です。

 

一方で、移行の際には解約課税が発生する可能性があること、また配当金の再投資を自分で行わなければならないことには注意が必要です。

 

税制面ではETFと投資信託は同じであり、ETFだけが不利になるわけではありません。


結局のところ、自分の投資スタイルに合うかどうかを見極めて判断することが大切です。

 


 

FAQ(よくある質問)

 

Q1. ETFへ乗り換えれば必ず得になりますか?


→ 手数料面では有利になる可能性が高いですが、投資信託の解約で課税が発生する場合は短期的には損をすることもあります。長期的に運用する前提でメリットが大きくなります。

 

Q2. NISAではETFと投資信託、どちらが有利ですか?


→ 税制の扱いは同じです。NISAでは日本の課税分が非課税になりますが、米国源泉徴収10%は両方とも共通して発生します。そのため、ETFだけが不利になることはありません。

 

Q3. 配当金の扱いに違いはありますか?


→ 投資信託は自動再投資される場合が多く、ETFは投資家が自分で再投資する必要があります。複利効果を最大化したいなら、ETFでは受け取った配当を定期的に再投資する工夫が大切です。

 

Q4. 投資信託とETFを併用するのはありですか?


→ はい。たとえば少額の積立投資には投資信託を使い、大きな資金を一括投資する場合はETFを選ぶ、といった併用戦略も効果的です。両者の特徴を組み合わせることで、利便性と低コストの両方を活かせます。

 

Q5. どのETFを選ぶのが一般的ですか?


→ 日本人投資家に人気があるのは、S&P500連動のVOOやIVV、NASDAQ100連動のQQQなどです。配当を重視する人にはVYMやHDVといった高配当ETFも選択肢になります。投資目的に応じて選ぶことが重要です。

 

Q6. 為替リスクはどう考えるべきですか?


→ 米国ETFはドル建てで取引されるため、為替の影響を受けます。長期的には円安・円高がリターンにプラスにもマイナスにも作用しますが、これは投資信託でも同じです。外貨建て資産に投資する以上、為替リスクを前提として運用計画を立てることが必要です。

 

Tags: インデックス投資
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投資忍者 プロフィール

米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。

「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。

元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。