
投資信託の基準価額とETF株価の違いとは?徹底解説
By Staff | 2025-08-19
Category: インデックス投資
個人投資家にとって、投資信託とETFは最も身近な投資手段です。
特にインデックス投資を行う場合、多くの人がどちらを選ぶべきか悩むことが多いでしょう。
しかし、両者の最大の違いは「価格の決まり方」にあります。
投資信託は「基準価額」、ETFは「株価」という異なる仕組みで価格が決まるため、その特徴を理解することで自分に合った投資方法を選びやすくなります。
投資信託の基準価額とは?
投資信託における基準価額とは、そのファンドが保有している資産の合計を発行口数で割った「1口あたりの価値」を意味します。
- 算出は1日1回のみで、通常は市場が終了した後に計算されます。
- 日本の公募投資信託では夕方に最新の基準価額が公表され、投資家の購入や解約はその日の基準価額に基づいて行われます。
- 市場の取引時間中に価格は動かず、注文を出しても約定価格は当日夕方に確定します。
つまり、投資信託は「1日ごとに価格が更新される仕組み」であり、リアルタイムの価格変動に左右されずに投資できます。
これは長期積立に向いており、投資初心者にも扱いやすい特徴です。
ETFの株価とは?
ETF(上場投資信託)は、株式と同じように取引所に上場されているファンドです。そのため、価格は「株価」として取引時間中に常に変動します。
- ETFの価格はファンドの純資産価値(NAV)に連動しますが、需給によってリアルタイムで上下します。
- 投資家は株式と同じように指値注文や成行注文を使い、自由に売買できます。
- 代表例として「VOO(Vanguard S&P500 ETF)」や「VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)」が挙げられ、日本人投資家にも人気があります。
ETFは市場で自由に取引できるため、売買のタイミングを重視する投資家や短期で資金を動かしたい投資家に向いています。
基準価額と株価の違いを整理
両者の違いをまとめると次のようになります。
算出タイミング
- 投資信託:1日1回(市場終了後に確定)
ETF:取引時間中に常に変動
投資スタイルへの影響
- 投資信託:積立投資や長期保有に向く。日中の価格変動を気にする必要がない
ETF:売買タイミングを自分で選べる。リアルタイム取引が可能
取引コスト
- 投資信託:購入手数料がかかる場合があるが、ノーロード商品も多い
ETF:取引所を通すため売買手数料やスプレッドの影響を受ける
このように、同じインデックスを対象としていても、投資信託とETFでは投資家の体験が大きく異なります。
日本人投資家にとっての実務的な違い
日本の投資家にとって大きな違いは「積立のしやすさ」と「為替リスク」です。
投資信託は証券会社で自動積立設定が可能であり、積立NISA制度を通じて非課税で投資できます。
代表的な商品には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などがあり、円建てで購入できるため手間がかかりません。
一方、ETFは自分で売買注文を出す必要があり、積立の利便性は低いです。
また、米国ETFはドル建てで取引するため、為替リスクや為替手数料を考慮する必要があります。
ただし、VTIやVOOといった米国ETFは経費率が非常に低く、長期的にはコスト面で有利になることも多いです。
具体例で比較
例えば、日本国内の投資信託である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、1日1回算出される基準価額で取引されます。
そのため、投資家は日中に注文しても、その日の夕方に確定した価格で購入・解約が行われます。
一方、米国市場に上場している「SPY(SPDR S&P500 ETF)」や「VOO」は、市場が開いている時間中であればリアルタイムで売買可能です。
株式と同じように板情報を確認しながら、指値での注文も可能です。
メリット・デメリットまとめ
- 投資信託のメリット:少額から積立可能、為替取引不要、自動積立に対応
- 投資信託のデメリット:リアルタイム取引不可、信託報酬がETFよりやや高い場合がある
- ETFのメリット:経費率が低い、売買の自由度が高い、海外ETFで投資対象が豊富
- ETFのデメリット:売買手数料やスプレッド、為替コストが発生、積立がしづらい
投資家タイプ別の使い分け
投資信託とETFのどちらを選ぶべきかは、投資家の目的やスタイルによって異なります。
- 長期でコツコツ積立たい初心者 → 投資信託
- 米国ETFを直接買いたい中級者以上 → ETF
- リアルタイムの売買をしたい人 → ETF
- 自動で手間なく投資したい人 → 投資信託
まとめ
投資信託の基準価額とETFの株価は、どちらもファンドの価値を示すものですが、算出方法と投資体験は大きく異なります。
投資信託は積立投資に向いており、ETFは低コストで自由度の高い取引が可能です。
日本人投資家はNISA制度や為替リスクを考慮しつつ、自分に合った投資商品を選ぶことが大切です。
FAQ
Q1. 投資信託とETFはどちらがコスト安いですか?
A. 一般的にはETFの方が経費率は低いですが、投資信託もノーロード化が進んでおり差は縮まっています。
Q2. 積立NISAでETFは買えますか?
A. 日本国内ETFの一部は対象ですが、米国ETFは対象外です。
Q3. ETFと投資信託の税制は違いますか?
A. 基本は同じですが、米国ETFは米国課税と日本課税が関わるため外国税額控除を理解する必要があります。
Q4. 初心者にはどちらがおすすめですか?
A. 自動積立ができて手間の少ない投資信託がおすすめです。
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投資忍者 プロフィール
米国株の投資情報、個人投資家向けの投資戦略、米国株式投資関連情報などを配信しています。
「企業の業績と株価は長期的に統一する」という考えで、米国株の長期的投資をしています。オプション取引では短期的には市場はランダムに動くと考えて取引しています。
元米国不動産アナリスト。米国MBA保有。海外生活約25年。個人投資家兼オプショントレーダー。